捜査当局はいかにして贈収賄の端緒を掴むか
【短期連載】医薬業界と汚職①
元特捜部主任検事 前田恒彦
2019年10月15日号
汚職の「汚」にちなんで「サンズイ」と呼ばれる贈収賄は、捜査当局が取り扱う事件のなかでも別格だ。
殺人や傷害致死、強盗、詐欺、横領などであれば、捜査当局も死体の発見や被害の申告によって事件の存在を容易に把握できる。凶器や血痕、毛髪といった物証も豊富だから、鑑定で真相に迫ることも可能となる。
しかし、贈収賄は贈収双方が秘密裏に金品を受け渡し、そのまま口を閉ざすのが通常だし、授受に関する確たる物証も乏しく、尻尾を掴むこと自体が難しい。その意味で、捜査当局にとって最も価値の高い事件と言われており、特捜部でも年1件は検挙すべしといった不文律のノルマがあるほどだ。
まずは両者の癒着を察知し、水面下の事件を掘り起こすところから始める必要があるが、いかにしてより正確にポイントを探り当てるかが重要となる。
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汚職の「汚」にちなんで「サンズイ」と呼ばれる贈収賄は、捜査当局が取り扱う事件のなかでも別格だ。
殺人や傷害致死、強盗、詐欺、横領などであれば、捜査当局も死体の発見や被害の申告によって事件の存在を容易に把握できる。凶器や血痕、毛髪といった物証も豊富だから、鑑定で真相に迫ることも可能となる。
しかし、贈収賄は贈収双方が秘密裏に金品を受け渡し、そのまま口を閉ざすのが通常だし、授受に関する確たる物証も乏しく、尻尾を掴むこと自体が難しい。その意味で、捜査当局にとって最も価値の高い事件と言われており、特捜部でも年1件は検挙すべしといった不文律のノルマがあるほどだ。
まずは両者の癒着を察知し、水面下の事件を掘り起こすところから始める必要があるが、いかにしてより正確にポイントを探り当てるかが重要となる。
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