医薬経済オンライン

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【短期連載】医薬業界と汚職③

ある公立医大の医師派遣をめぐる贈収賄(上)

元特捜部主任検事 前田恒彦

2019年11月15日号

 贈賄と収賄の両者が医師という、「医の倫理」を揺るがす汚職があった。公立医大の教授が医局の医師を民間の関連病院に派遣する見返りとして、院長らから多額の現金を受け取っていたという事件だ。  人手不足の民間病院は教授に賄賂を渡してでも有能な医師を継続して派遣してほしいし、教授も見栄を張ったり贅沢な暮らしをするためには何かと金がいる。教授への謝礼はこの業界における長年の慣例であり、公然の秘密だったが、ここに捜査のメスが入ったわけだ。  捜査の端緒は、一部マスコミからもたらされた情報だった。  すなわち、中規模病院で内紛があり、贈収間を仲介していた病院ブローカーが冷遇されたため、知人の記者に内情をぶちまけた。この記者が特捜部にネタを持ち込んだことで水面下の内偵捜査が始まり、数十人の捜査員を投入した大規模な強制捜査...  贈賄と収賄の両者が医師という、「医の倫理」を揺るがす汚職があった。公立医大の教授が医局の医師を民間の関連病院に派遣する見返りとして、院長らから多額の現金を受け取っていたという事件だ。  人手不足の民間病院は教授に賄賂を渡してでも有能な医師を継続して派遣してほしいし、教授も見栄を張ったり贅沢な暮らしをするためには何かと金がいる。教授への謝礼はこの業界における長年の慣例であり、公然の秘密だったが、ここに捜査のメスが入ったわけだ。  捜査の端緒は、一部マスコミからもたらされた情報だった。  すなわち、中規模病院で内紛があり、贈収間を仲介していた病院ブローカーが冷遇されたため、知人の記者に内情をぶちまけた。この記者が特捜部にネタを持ち込んだことで水面下の内偵捜査が始まり、数十人の捜査員を投入した大規模な強制捜査に

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