医薬経済オンライン

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技術革新と製薬企業の明日

競争が熾烈な単鎖抗体の「実力」

第110回 ビッグファーマが果敢に挑む理由

生島准

2019年11月15日号

 抗体の大幅な低分子化に成功した単鎖抗体の本格的実用化が始まった。主戦場となった加齢黄斑変性の激戦から垣間見えてきたのは、患者のQOL改善だけでなく、低分子化抗体がバイオシミラー潰しの切り札となることだった。 19年10月8日、米国食品医薬品局は抗VEGF(血管上皮細胞成長因子)A単鎖鎖抗体「ベオビュー」を承認した。世界市場で1000億円以上の売上げを期待される新たなブロックバスターの誕生だ。この製品は世界で3番目に商品化された単鎖抗体でもある。通常の抗体医薬は重鎖と軽鎖2組、4本のたんぱく質が会合したYの字型の複合たんぱく質だ。分子量が15万もあり、前世紀まで新薬市場の主役を占めていた低分子薬の300倍も分子量が大きい。分子量が大きく製造コストや品質管理コストがかかる。また巨大分子であるため疾患組織への浸透性が低く、治療効果が限定される。 こうした欠点を補うも...  抗体の大幅な低分子化に成功した単鎖抗体の本格的実用化が始まった。主戦場となった加齢黄斑変性の激戦から垣間見えてきたのは、患者のQOL改善だけでなく、低分子化抗体がバイオシミラー潰しの切り札となることだった。 19年10月8日、米国食品医薬品局は抗VEGF(血管上皮細胞成長因子)A単鎖鎖抗体「ベオビュー」を承認した。世界市場で1000億円以上の売上げを期待される新たなブロックバスターの誕生だ。この製品は世界で3番目に商品化された単鎖抗体でもある。通常の抗体医薬は重鎖と軽鎖2組、4本のたんぱく質が会合したYの字型の複合たんぱく質だ。分子量が15万もあり、前世紀まで新薬市場の主役を占めていた低分子薬の300倍も分子量が大きい。分子量が大きく製造コストや品質管理コストがかかる。また巨大分子であるため疾患組織への浸透性が低く、治療効果が限定される。 こうした欠点を補うものが

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