薬のおカネを議論しよう
海外当局と判断が割れたPMDAの医薬品評価
第7回
医療ガバナンス研究所医師 谷本哲也
2019年12月1日号
各国の規制当局間で、医薬品評価の判断が割れることは珍しいことではない。その理由はさまざまで、トルストイの『アンナ・カレーニナ』風に言えば、評価が一致した薬の状況はいずれも似通っているが、判断が割れた医薬品にはそれぞれのかたちがあるのだ。 第1の理由は、評価される臨床試験結果の違いだ。日本で広く使用される抗インフルエンザ薬「イナビル」(第一三共)は、米国などで行われた臨床試験で有効性が認められず、承認は得られなかった。 第2は、医薬品市場の文化の違いだ。ヒトパピローマウイルスワクチンの効果は世界保健機関を含め定評があり、世界各国で接種推進がされている。しかし、薬害に過敏反応する日本社会では、ご存知のとおり厚生労働省が積極的勧奨の差し控えを長年続けている。 第3は、規制当局間の見解の相違だ。白血病薬「マイロターグ」(ファイザー)は日米で承認さ...
各国の規制当局間で、医薬品評価の判断が割れることは珍しいことではない。その理由はさまざまで、トルストイの『アンナ・カレーニナ』風に言えば、評価が一致した薬の状況はいずれも似通っているが、判断が割れた医薬品にはそれぞれのかたちがあるのだ。 第1の理由は、評価される臨床試験結果の違いだ。日本で広く使用される抗インフルエンザ薬「イナビル」(第一三共)は、米国などで行われた臨床試験で有効性が認められず、承認は得られなかった。 第2は、医薬品市場の文化の違いだ。ヒトパピローマウイルスワクチンの効果は世界保健機関を含め定評があり、世界各国で接種推進がされている。しかし、薬害に過敏反応する日本社会では、ご存知のとおり厚生労働省が積極的勧奨の差し控えを長年続けている。 第3は、規制当局間の見解の相違だ。白血病薬「マイロターグ」(ファイザー)は日米で承認され
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