【短期連載】医薬業界と汚職⑤
ある公立病院の医薬品選定をめぐる贈収賄
元特捜部主任検事 前田恒彦
2019年12月15日号
ひょんなことから根深い汚職が発覚し、日本製薬工業協会など業界団体によるコンプライアンス条項策定に至った事件があった。ある公立病院の医薬品選定をめぐる贈収賄だ。
特捜部による捜査の端緒は、一部マスコミによるスクープ報道だった。製薬会社の医薬情報担当者(MR)から過剰な飲食接待を受けていると聞き知った記者が、院長らを尾行して高級クラブでの接待を目撃、撮影し、写真付きで大きく報じた。
なぜそうした情報がマスコミに漏れたかというと、院長が女性患者を乳がんだと誤診して乳房切除に及んだほか、食道がん手術後に死亡した男性患者の看護記録を改ざんさせていた不正が発覚し、問題視されたことがきっかけだった。
15年間も院長を務め、院内では「天皇」と呼ばれるほどの絶対的な存在だったから、「物言えば唇寒し」で、製薬会社との癒着...
ひょんなことから根深い汚職が発覚し、日本製薬工業協会など業界団体によるコンプライアンス条項策定に至った事件があった。ある公立病院の医薬品選定をめぐる贈収賄だ。
特捜部による捜査の端緒は、一部マスコミによるスクープ報道だった。製薬会社の医薬情報担当者(MR)から過剰な飲食接待を受けていると聞き知った記者が、院長らを尾行して高級クラブでの接待を目撃、撮影し、写真付きで大きく報じた。
なぜそうした情報がマスコミに漏れたかというと、院長が女性患者を乳がんだと誤診して乳房切除に及んだほか、食道がん手術後に死亡した男性患者の看護記録を改ざんさせていた不正が発覚し、問題視されたことがきっかけだった。
15年間も院長を務め、院内では「天皇」と呼ばれるほどの絶対的な存在だったから、「物言えば唇寒し」で、製薬会社との癒着を
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