医薬経済オンライン

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信念を貫いた男が語る「役人の醍醐味」

元厚生省審議官・土井脩氏の逝去に寄せ

ノンフィクション作家 辰濃哲郎

2020年1月15日号

 小雨の降りしきる埼玉県川越市の蓮馨寺の境内には、かつて厚生行政を担った面々が焼香の順番を待っていた。 昨年12月29日に亡くなった元厚生省審議官で現医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団理事長の土井脩氏のお通夜だ。薬系技官としては最高ポストである審議官まで務め、数々の功績を挙げた。80人ほど収容できる講堂の外に、倍ほどの参列者が溢れていた。 土井氏が、医師から「仕事ができるのも年内」と余命を宣告されたのが昨年8月だ。10月に、本人から電話で聞かされた私は、すぐに取材を申し入れた。 彼の半生を綴りたいと思った理由のひとつは、彼の伝説には“悪評”が付き纏うからだ。彼の徹底した能力主義は、多くの薬系技官から疎まれた。融通が利かずに頑固で偏屈。そのために彼は何度も挫折を味わっている。 その挫折にもかかわらず、官僚然として周囲におもねることなく「科学を...  小雨の降りしきる埼玉県川越市の蓮馨寺の境内には、かつて厚生行政を担った面々が焼香の順番を待っていた。 昨年12月29日に亡くなった元厚生省審議官で現医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団理事長の土井脩氏のお通夜だ。薬系技官としては最高ポストである審議官まで務め、数々の功績を挙げた。80人ほど収容できる講堂の外に、倍ほどの参列者が溢れていた。 土井氏が、医師から「仕事ができるのも年内」と余命を宣告されたのが昨年8月だ。10月に、本人から電話で聞かされた私は、すぐに取材を申し入れた。 彼の半生を綴りたいと思った理由のひとつは、彼の伝説には“悪評”が付き纏うからだ。彼の徹底した能力主義は、多くの薬系技官から疎まれた。融通が利かずに頑固で偏屈。そのために彼は何度も挫折を味わっている。 その挫折にもかかわらず、官僚然として周囲におもねることなく「科学を人

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