薬のおカネを議論しよう
プロパブリカが明らかにした製薬マネーの威力
第11回
医療ガバナンス研究所医師 谷本哲也
2020年2月1日号
19年12月、旭川医科大学の教授が停職12ヵ月の懲戒処分を受けた。その理由は、大学に無許可で妻が代表取締役を務める企業に役員として就任し、講演会の謝金や原稿執筆料として製薬会社などから自分の企業宛に支払わせていたことが露見したためだ。その金額は3年間で約1億円に上る。 製薬会社から講演料などの名目で支払われる、いわゆる「製薬マネー」は、日本のみならず世界中で蔓延し常態化している。大学教授など有能な医師が多額の収入を得るのは当然だと嘯く意見も根強くあり、私もこうしたメリトクラシー的な発想自体は否定しない。 問題は、製薬マネーが医学部教授の本務とされる教育・研究・診療に対する報酬ではないことにある。表向きはどうあれ、実質的には教授の権威を利用し、新薬の広告塔の役割を期待されて支払いを受けている場合が珍しくない。 このため日本の大学などでは本業に支...
19年12月、旭川医科大学の教授が停職12ヵ月の懲戒処分を受けた。その理由は、大学に無許可で妻が代表取締役を務める企業に役員として就任し、講演会の謝金や原稿執筆料として製薬会社などから自分の企業宛に支払わせていたことが露見したためだ。その金額は3年間で約1億円に上る。 製薬会社から講演料などの名目で支払われる、いわゆる「製薬マネー」は、日本のみならず世界中で蔓延し常態化している。大学教授など有能な医師が多額の収入を得るのは当然だと嘯く意見も根強くあり、私もこうしたメリトクラシー的な発想自体は否定しない。 問題は、製薬マネーが医学部教授の本務とされる教育・研究・診療に対する報酬ではないことにある。表向きはどうあれ、実質的には教授の権威を利用し、新薬の広告塔の役割を期待されて支払いを受けている場合が珍しくない。 このため日本の大学などでは本業に支障を
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