平時医療体制の破綻に備える〜電光石火こそ最良の有事医療〜
平時の対策・教育の重要性
第94回
愛知医科大学 非常勤講師 照井資規
2020年2月15日号
世界保健機関(WHO)は1月30日夜(日本時間31日未明)、中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎について「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」と宣言した。日本でも感染症法で定める指定感染症の政令施行を当初の2月7日から1日に前倒しした。 通常、周知に要する時間と違反に対する罰則規定など細部を定めるために政令を施行するまで1週間程度の期間を設けるものだが、それでは手遅れになるとの判断から、異例の前倒し施行となった。 しかし、遅きに失した感がある。春節による中国人の大量来日は1月24日から始まることはわかっていたはずで、1週間の遅れをとってしまった。日本の多くの医療従事者の危機意識は依然として低いことが対策の遅れの一因でもある。 新型肺炎の致死率は低く全世界平均では約2%、中国以外で算出した場合0.6%程度だ。日本国内で約1000万人が感染するインフルエ...
世界保健機関(WHO)は1月30日夜(日本時間31日未明)、中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎について「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」と宣言した。日本でも感染症法で定める指定感染症の政令施行を当初の2月7日から1日に前倒しした。 通常、周知に要する時間と違反に対する罰則規定など細部を定めるために政令を施行するまで1週間程度の期間を設けるものだが、それでは手遅れになるとの判断から、異例の前倒し施行となった。 しかし、遅きに失した感がある。春節による中国人の大量来日は1月24日から始まることはわかっていたはずで、1週間の遅れをとってしまった。日本の多くの医療従事者の危機意識は依然として低いことが対策の遅れの一因でもある。 新型肺炎の致死率は低く全世界平均では約2%、中国以外で算出した場合0.6%程度だ。日本国内で約1000万人が感染するインフルエンザ
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