医薬経済オンライン

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医工連携

高分子で賢く薬を操る

医工連携の実践者17 西山伸宏 東京工業大学教授

2020年3月1日号

 1月中旬、「液体のりの主成分であるポリビニルアルコール(PVA)が、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の効果を劇的に高める」との論文がサイエンスアドバンシズ誌に発表され、マスコミでも報じられて話題になったのを、ご記憶の方もいるだろう。  日本が世界の研究をリードしてきたBNCTは、質量数10のホウ素に熱中性子(エネルギーの低い中性子)を吸収させると、崩壊して細胞1個分の飛程しかないアルファ線とリチウム反跳核が生じることを利用した療法で、ホウ素をがん細胞だけに取り込ませることができれば、正常細胞に放射線の悪影響をほとんど与えることなく、がん細胞を傷害できる理屈だ。  がん細胞の膜上に過剰発現しているアミノ酸トランスポーターLAT1経由で細胞内に取り込まれるホウ素剤として開発されたボロノフェニルアラニン(BPA)が、単体だと同じ経路で急速に...  1月中旬、「液体のりの主成分であるポリビニルアルコール(PVA)が、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の効果を劇的に高める」との論文がサイエンスアドバンシズ誌に発表され、マスコミでも報じられて話題になったのを、ご記憶の方もいるだろう。  日本が世界の研究をリードしてきたBNCTは、質量数10のホウ素に熱中性子(エネルギーの低い中性子)を吸収させると、崩壊して細胞1個分の飛程しかないアルファ線とリチウム反跳核が生じることを利用した療法で、ホウ素をがん細胞だけに取り込ませることができれば、正常細胞に放射線の悪影響をほとんど与えることなく、がん細胞を傷害できる理屈だ。  がん細胞の膜上に過剰発現しているアミノ酸トランスポーターLAT1経由で細胞内に取り込まれるホウ素剤として開発されたボロノフェニルアラニン(BPA)が、単体だと同じ経路で急速に細胞

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