読む医療ー医師が書いた本の斜め読みー
医科学者が残した被爆ドキュメント
第141回
大西一幸
2020年3月15日号
長崎の鐘
永井隆著
アルバ文庫(出版サンパウロ)
1995年4月文庫初版
初めての独り旅は9歳の夏休み。当時暮らしていた大分県の漁村から歩いて駅まで行き、小倉ですし詰めの準急に乗り換え、長崎に向かった。9歳の子どもの真夏の独り旅はハードルが高かったはずだが、とにかく列車に長時間乗れること、知らない土地を訪ねていく嬉しさしか記憶がない。
長崎市内には父方の叔母と、長崎大学病院の勤務医だった母方の叔父がいて、叔父が旅費をプレゼントしてくれた。叔父の下宿に2泊し、その後は叔母の家で2週間ほど過ごした。叔父の下宿は病院近くの坂の途中にあり、夜半叔父に連れられて病院の風呂まで入浴しに出かけた。浴槽に2人で浸かっていると、叔父は「ここでくさ、ピカドンが来てさ、看護婦さんが2人、こんなして焼け死んだとさ」と言って、だ...
長崎の鐘
永井隆著
アルバ文庫(出版サンパウロ)
1995年4月文庫初版
初めての独り旅は9歳の夏休み。当時暮らしていた大分県の漁村から歩いて駅まで行き、小倉ですし詰めの準急に乗り換え、長崎に向かった。9歳の子どもの真夏の独り旅はハードルが高かったはずだが、とにかく列車に長時間乗れること、知らない土地を訪ねていく嬉しさしか記憶がない。
長崎市内には父方の叔母と、長崎大学病院の勤務医だった母方の叔父がいて、叔父が旅費をプレゼントしてくれた。叔父の下宿に2泊し、その後は叔母の家で2週間ほど過ごした。叔父の下宿は病院近くの坂の途中にあり、夜半叔父に連れられて病院の風呂まで入浴しに出かけた。浴槽に2人で浸かっていると、叔父は「ここでくさ、ピカドンが来てさ、看護婦さんが2人、こんなして焼け死んだとさ」と言って、だらり
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