平時医療体制の破綻に備える〜電光石火こそ最良の有事医療〜
陸自隊員訓練事故死への疑問②
第98回
琉球大学医学部 非常勤講師 照井資規
2020年4月15日号
06年11月、札幌市の陸上自衛隊真駒内駐屯地で発生した、徒手格闘訓練時の訓練事故死の裁判で「安全配慮義務違反」に関しては決着がついている。だが、陸自は今だに遺族に対し、具体的な死因や損傷がなぜ起きたのか説明していない。筆者は当時、事件発生時に現場で一緒に訓練をしていた第18普通科連隊に所属していた。翌07年3月から、同事件を起こした第11後方支援連隊の衛生隊に異動となった。真駒内駐屯地ボクシング部員でもあり、事件現場の体育館は頻回に利用していたため、詳細に至るまで知っている。徒手格闘訓練で、このような死因や損傷はあり得ない。
図1「司法解剖鑑定書の考察」図2「診断書の考察」のように、死因は急性硬膜下血腫、外傷性クモ膜下出血で、脳が比較的強く振盪する力によるもの、頭部への繰り返しの強い衝撃によるものと考えられる。図3「加速損傷による架橋静...
06年11月、札幌市の陸上自衛隊真駒内駐屯地で発生した、徒手格闘訓練時の訓練事故死の裁判で「安全配慮義務違反」に関しては決着がついている。だが、陸自は今だに遺族に対し、具体的な死因や損傷がなぜ起きたのか説明していない。筆者は当時、事件発生時に現場で一緒に訓練をしていた第18普通科連隊に所属していた。翌07年3月から、同事件を起こした第11後方支援連隊の衛生隊に異動となった。真駒内駐屯地ボクシング部員でもあり、事件現場の体育館は頻回に利用していたため、詳細に至るまで知っている。徒手格闘訓練で、このような死因や損傷はあり得ない。
図1「司法解剖鑑定書の考察」図2「診断書の考察」のように、死因は急性硬膜下血腫、外傷性クモ膜下出血で、脳が比較的強く振盪する力によるもの、頭部への繰り返しの強い衝撃によるものと考えられる。図3「加速損傷による架橋静脈
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