エッセンシャルドラッグを守れ | 医薬経済オンライン

眺望　医薬街道

エッセンシャルドラッグを守れ

近藤正觀

2020年4月15日号

　3月27日、厚生労働省は「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」を開催した。医薬品の製造や流通に関するステークホルダーや有識者で構成し、抗菌薬などの安定確保策を議論する。　19年3月に抗菌薬「セファゾリン」が国内市場で供給困難になった。日本の感染症治療で、「ひとつの企業」「ひとつの薬剤」が供給停止となり、多くの医療機関で2次的な代替薬を使用せざるを得ず、適切な治療ができない状況が生じた。医療機関では抗菌薬が調達できるまで手術を先延ばし、あるいは中止するという事態に陥った。　セファゾリンの供給停止は20年に解決されたが、医薬品という生命関連商品の使命である「安定供給」が脅かされる事例となった。主な原因は、セファゾリンの原料が中国で製造されていたことだ。この原料は世界で中国の1社しか製造しておらず、原料を製造する際に異物が混入していたことがネ... 　3月27日、厚生労働省は「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」を開催した。医薬品の製造や流通に関するステークホルダーや有識者で構成し、抗菌薬などの安定確保策を議論する。　19年3月に抗菌薬「セファゾリン」が国内市場で供給困難になった。日本の感染症治療で、「ひとつの企業」「ひとつの薬剤」が供給停止となり、多くの医療機関で2次的な代替薬を使用せざるを得ず、適切な治療ができない状況が生じた。医療機関では抗菌薬が調達できるまで手術を先延ばし、あるいは中止するという事態に陥った。　セファゾリンの供給停止は20年に解決されたが、医薬品という生命関連商品の使命である「安定供給」が脅かされる事例となった。主な原因は、セファゾリンの原料が中国で製造されていたことだ。この原料は世界で中国の1社しか製造しておらず、原料を製造する際に異物が混入していたことがネック

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