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医工連携

細胞死研究からAI創薬へ

医工連携の実践者21 田沼靖一 東京理科大学総合研究院教授

2020年5月1日号

 アルツハイマー病のモデルマウスを使った研究で、東京医科歯科大学のグループから1月、驚くべき現象がネイチャーコミュニケーションズ誌に報告された。細胞外アミロイドβの蓄積前に神経細胞のネクローシス(一次死亡)が起き、その細胞から放出されたDAMP(損傷関連分子)であるHMGB1タンパク質の濃度依存的に周辺神経細胞のシナプスに機能異常が起き、やがてその周辺細胞も死に(二次死亡)、かつて細胞群のあった場所にアミロイドβが残ったというのだ。  細胞外アミロイドβの蓄積によって神経細胞死が起きるというアルツハイマー病の有力仮説に対して、時系列が違うのでないかと疑問を呈したことになる。これまでの仮説に基づいた抗アミロイドβ抗体の新薬も承認申請間近であり、検証が急がれる。  一方、観察されたHMGB1タンパク質は、細胞膜表面の受容体RAGEと結合するこ...  アルツハイマー病のモデルマウスを使った研究で、東京医科歯科大学のグループから1月、驚くべき現象がネイチャーコミュニケーションズ誌に報告された。細胞外アミロイドβの蓄積前に神経細胞のネクローシス(一次死亡)が起き、その細胞から放出されたDAMP(損傷関連分子)であるHMGB1タンパク質の濃度依存的に周辺神経細胞のシナプスに機能異常が起き、やがてその周辺細胞も死に(二次死亡)、かつて細胞群のあった場所にアミロイドβが残ったというのだ。  細胞外アミロイドβの蓄積によって神経細胞死が起きるというアルツハイマー病の有力仮説に対して、時系列が違うのでないかと疑問を呈したことになる。これまでの仮説に基づいた抗アミロイドβ抗体の新薬も承認申請間近であり、検証が急がれる。  一方、観察されたHMGB1タンパク質は、細胞膜表面の受容体RAGEと結合すること

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