読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー
移り変わりの中で生まれる諦念
第148回
大西一幸
2020年7月1日号
『日本人はどう死ぬべきか?』養老孟司×隈研吾、日経BP社、2014年12月刊
20年は新型コロナウイルスの蔓延で始まった。現在生きている人々の大半が経験したことのない災禍であることは間違いないと思う。とくに春の段階では咲き乱れる桜の木の下を皆俯いて歩き、出口の明かりの見えないトンネルの中にいるような時間が長く続いた経験をこれまでしたことはない。
阪神淡路大震災でも、東日本大震災でも「復興」の掛け声は、希望の色に塗られていたと思うし、リーマンショック時も経済生活の苦しさや、それに伴う精神疾患は増えたかもしれないが、それでも身体的な健康が脅かされたわけでもないし、街から人が消えてしまう事態は起きなかった。「三密」も「社会的距離」も感染の恐怖から生まれた公衆衛生用語として定着した。死が社会に近接し、著名なコメディア...
『日本人はどう死ぬべきか?』養老孟司×隈研吾、日経BP社、2014年12月刊
20年は新型コロナウイルスの蔓延で始まった。現在生きている人々の大半が経験したことのない災禍であることは間違いないと思う。とくに春の段階では咲き乱れる桜の木の下を皆俯いて歩き、出口の明かりの見えないトンネルの中にいるような時間が長く続いた経験をこれまでしたことはない。
阪神淡路大震災でも、東日本大震災でも「復興」の掛け声は、希望の色に塗られていたと思うし、リーマンショック時も経済生活の苦しさや、それに伴う精神疾患は増えたかもしれないが、それでも身体的な健康が脅かされたわけでもないし、街から人が消えてしまう事態は起きなかった。「三密」も「社会的距離」も感染の恐怖から生まれた公衆衛生用語として定着した。死が社会に近接し、著名なコメディアンの
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