医薬経済オンライン

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読む医療ー医師が書いた本の斜め読みー

野ざらしの境地を歩く

第149回

大西一幸

2020年7月15日号

『わたしの芭蕉』加賀乙彦著、講談社、2020年1月刊  7月1日号の読書は12年から14年までの養老孟司氏と隈研吾氏の対論集で、「『方丈記』から考える」ことをテーマに、鴨長明の大火、飢饉、地震、戦乱という乱世で「移り変わり」思想を論じていることを紹介した。養老氏は、どの世にも絶対的なものはない、あまり無常観にとらわれても先に進めなくなる、「だましだまし」で生き延びていくしかないと語り、隈氏は、移り変わり思想が崩れたさまを、家の問題を入り口に語った。  新型コロナウイルスに蹂躙される位置からこの対論を読むことは、読者である私に何かを伝えた。少なくとも東日本大震災以後から巣食っている、近代的価値観の崩壊、無常観への回帰願望を駆動させる何かが訪れることを両者が予感していたことを感じ取ったからだ。 「方丈記」の移り変わ... 『わたしの芭蕉』加賀乙彦著、講談社、2020年1月刊  7月1日号の読書は12年から14年までの養老孟司氏と隈研吾氏の対論集で、「『方丈記』から考える」ことをテーマに、鴨長明の大火、飢饉、地震、戦乱という乱世で「移り変わり」思想を論じていることを紹介した。養老氏は、どの世にも絶対的なものはない、あまり無常観にとらわれても先に進めなくなる、「だましだまし」で生き延びていくしかないと語り、隈氏は、移り変わり思想が崩れたさまを、家の問題を入り口に語った。  新型コロナウイルスに蹂躙される位置からこの対論を読むことは、読者である私に何かを伝えた。少なくとも東日本大震災以後から巣食っている、近代的価値観の崩壊、無常観への回帰願望を駆動させる何かが訪れることを両者が予感していたことを感じ取ったからだ。 「方丈記」の移り変わり

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