医工連携
患部で薬を体内合成
医工連携の実践25 田中克典 東京工業大学物質理工学院応用化学系教授
2020年8月1日号
医薬品開発では、試験管の中ではよく効いた物質が、生体に投与してみたら患部以外に集まって副作用を生じてしまったり、代謝されて違う物質になってしまったりと、体内動態(吸収・分布・代謝・排泄)のハードルを越えられず日の目を見ないことが珍しくない。
そのハードルを一気に下げる独創的アイデアとして注目されているのが、東京工業大学物質理工学院応用化学系・田中克典教授(写真)の提唱する「生体内合成化学治療」だ。
体外から単体では活性や毒性の低い原料物質を投与し、がんや臓器など体内の特定の場所で、薬として働く物質を有機合成するというもので、狙った場所に金属触媒を留置する方法と、狙った場所で過剰に発現している物質を原料として使う方法の2正面作戦で着実に成果を積み上げてきた。
前者では、18年に金触媒を使っ...
医薬品開発では、試験管の中ではよく効いた物質が、生体に投与してみたら患部以外に集まって副作用を生じてしまったり、代謝されて違う物質になってしまったりと、体内動態(吸収・分布・代謝・排泄)のハードルを越えられず日の目を見ないことが珍しくない。
そのハードルを一気に下げる独創的アイデアとして注目されているのが、東京工業大学物質理工学院応用化学系・田中克典教授(写真)の提唱する「生体内合成化学治療」だ。
体外から単体では活性や毒性の低い原料物質を投与し、がんや臓器など体内の特定の場所で、薬として働く物質を有機合成するというもので、狙った場所に金属触媒を留置する方法と、狙った場所で過剰に発現している物質を原料として使う方法の2正面作戦で着実に成果を積み上げてきた。
前者では、18年に金触媒を使って
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