時流遡航
哲学の脇道遊行記 実践的思考法の裏を眺め楽しむ
第21回 ─不格好なナスやキュウリに己の姿を重ね見る─
2020年8月1日号
子どもの頃に体験した離島での自給自足生活を顧みるにつけても、何かと考え込まされることが少なくないのですが、裏を返せば、それはまた己が老い果てたということの確たる証にほかならないのでしょう。評論家の米沢慧氏がよく用いる「往きの命と還りの命」という浄土真宗の祖・親鸞由来の概念に鑑みるなら、「還りの命」、すなわち「無」へと戻る道程の終着点近くをば戯言を呟きながらふらふらと彷徨っているのがいまの自分だというわけなのです。
人生の絶頂期に向かって「往きの命」の道を突き進む現代の若い世代の人々には、そんな老人の繰り言など聞くに堪えないものにも思われるかもしれませんが、それならそれで無視するなり耳を塞ぐなりしてもらっても一向に構いはしません。
昔、我が家の裏の畑でとれたナスやキュウリは、堆肥などの栄養分を適度に...
子どもの頃に体験した離島での自給自足生活を顧みるにつけても、何かと考え込まされることが少なくないのですが、裏を返せば、それはまた己が老い果てたということの確たる証にほかならないのでしょう。評論家の米沢慧氏がよく用いる「往きの命と還りの命」という浄土真宗の祖・親鸞由来の概念に鑑みるなら、「還りの命」、すなわち「無」へと戻る道程の終着点近くをば戯言を呟きながらふらふらと彷徨っているのがいまの自分だというわけなのです。
人生の絶頂期に向かって「往きの命」の道を突き進む現代の若い世代の人々には、そんな老人の繰り言など聞くに堪えないものにも思われるかもしれませんが、それならそれで無視するなり耳を塞ぐなりしてもらっても一向に構いはしません。
昔、我が家の裏の畑でとれたナスやキュウリは、堆肥などの栄養分を適度に吸
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