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医政羅針盤

医療でも問われる有事の備え

山形大学大学院医学系研究科 医療政策学講座教授 村上正泰

2020年9月1日号

 医療は危機への対応から逃れられない。医療本来の領域における危機としては、新型コロナウイルスのような感染症がその代表例である。他方で、東日本大震災を思い出せば明らかなように、自然災害が発生し、多くの人命が危機に瀕する事態になれば、医療面での対応体制が求められる。  災害医療は、都道府県が策定する医療計画のなかでも5事業のひとつに位置付けられており、災害拠点病院やDMAT(災害派遣医療チーム)などの仕組みが整備されている。これらがどこまで有効に機能するのかについて、不確実な面はあるものの、最近も全国各地で自然災害が相次いでおり、しかも南海トラフ巨大地震の危険性が指摘されていることもあり、災害医療への意識は極めて高くなっている。  だが、日本人が今後真剣に備えなければならない危機は、自然災害にとどまらない。ここ...  医療は危機への対応から逃れられない。医療本来の領域における危機としては、新型コロナウイルスのような感染症がその代表例である。他方で、東日本大震災を思い出せば明らかなように、自然災害が発生し、多くの人命が危機に瀕する事態になれば、医療面での対応体制が求められる。  災害医療は、都道府県が策定する医療計画のなかでも5事業のひとつに位置付けられており、災害拠点病院やDMAT(災害派遣医療チーム)などの仕組みが整備されている。これらがどこまで有効に機能するのかについて、不確実な面はあるものの、最近も全国各地で自然災害が相次いでおり、しかも南海トラフ巨大地震の危険性が指摘されていることもあり、災害医療への意識は極めて高くなっている。  だが、日本人が今後真剣に備えなければならない危機は、自然災害にとどまらない。ここで指

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