医薬経済オンライン

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読む医療ー医師が書いた本の斜め読みー

再来する「しっくりこない」感覚

第152回

大西一幸

2020年9月1日号

『心の傷を癒すということ 大災害と心のケア』、安克昌、作品社、2020年1月刊(増補版) 以前から読みたいと考えていた1冊。今回読んだのは20年1月に出された増補版で、オリジナルは96年1月に刊行されている。サブタイトルに「大災害と心のケア」とあるように、阪神淡路大震災後の心のケアを考え続けてきた神戸の精神科医のノート。安克昌は00年12月に39歳で亡くなっている。震災後、PTSDという言葉を社会に届けた精神科医のひとりでもある。彼の生涯は20年1月にNHKでテレビドラマ化された。「神戸の町は食べ散らかした魚のようになっていた。あちらこちらで解体作業が進み、瓦礫となった柱や鉄骨が骨のようにむきだしになっていた」。同書の第Ⅱ部五章「変化してゆく意識」で語られている。美味だったものが、残滓となると汚く見える。震災前後の激しい時間の変化と、神戸の人々のささくれた心を活写... 『心の傷を癒すということ 大災害と心のケア』、安克昌、作品社、2020年1月刊(増補版) 以前から読みたいと考えていた1冊。今回読んだのは20年1月に出された増補版で、オリジナルは96年1月に刊行されている。サブタイトルに「大災害と心のケア」とあるように、阪神淡路大震災後の心のケアを考え続けてきた神戸の精神科医のノート。安克昌は00年12月に39歳で亡くなっている。震災後、PTSDという言葉を社会に届けた精神科医のひとりでもある。彼の生涯は20年1月にNHKでテレビドラマ化された。「神戸の町は食べ散らかした魚のようになっていた。あちらこちらで解体作業が進み、瓦礫となった柱や鉄骨が骨のようにむきだしになっていた」。同書の第Ⅱ部五章「変化してゆく意識」で語られている。美味だったものが、残滓となると汚く見える。震災前後の激しい時間の変化と、神戸の人々のささくれた心を活写して

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