眺望 医薬街道
地域枠の定義を明確にして医師の偏在を防げ
近藤正觀
2020年9月15日号
厚生労働省の医師需給分科会は8月31日、今後の医学部の定員を9330人とし、医師の労働時間を週60時間程度に制限した場合、医師の需給が29年頃に36万人で均衡するとした中位推計結果を示した。1970年には人口10万人対医師150人とすることを掲げ、83年に計画を達成したが、06年には医師不足から来る勤務医の過重労働問題が顕在化し、医師確保総合対策が叫ばれた。新成長戦略の一環として10年には医師養成に大学の地域枠の新たな設定がなされた。 地域枠等の割合は20年で1679人となり、18.2%を占めている状況だ。現在、医師は約33万人いる。診療所の医師は11万人程度だがプライマリーケアを担当する医師であり、本格的な治療となると病院医師に委ねられる。患者も大きな病院であればよりよい治療が受けられると考え、大病院に行きたがる。だが、いまは当該地区で1軒しかない診療所で患者のすべてを診る時...
厚生労働省の医師需給分科会は8月31日、今後の医学部の定員を9330人とし、医師の労働時間を週60時間程度に制限した場合、医師の需給が29年頃に36万人で均衡するとした中位推計結果を示した。1970年には人口10万人対医師150人とすることを掲げ、83年に計画を達成したが、06年には医師不足から来る勤務医の過重労働問題が顕在化し、医師確保総合対策が叫ばれた。新成長戦略の一環として10年には医師養成に大学の地域枠の新たな設定がなされた。 地域枠等の割合は20年で1679人となり、18.2%を占めている状況だ。現在、医師は約33万人いる。診療所の医師は11万人程度だがプライマリーケアを担当する医師であり、本格的な治療となると病院医師に委ねられる。患者も大きな病院であればよりよい治療が受けられると考え、大病院に行きたがる。だが、いまは当該地区で1軒しかない診療所で患者のすべてを診る時代
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