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医政羅針盤

「社会的共通資本」論について

山形大学大学院医学系研究科 医療政策学講座教授 村上正泰

2020年9月15日号

  提唱した世界とは真逆の現象  新型コロナウイルス禍で「医療崩壊」の危機が叫ばれたことから、経済学者の故宇沢弘文・東京大学名誉教授が提唱した「社会的共通資本」に改めて注目が集まった。ほかの分野と同様、医療でも近年、経済効率を追い求める風潮ばかりが強まっていたが、新型コロナ禍でも明らかになったように、経済効率一辺倒では必要な医療体制を整備することはできない。世界を席巻してきた市場原理主義的な考え方の弊害が顕在化しているなかで、宇沢の「社会的共通資本」に関心が高まるのも自然な流れだ。  宇沢が「社会的共通資本」の構成要素として挙げたのは医療だけではなく、自然環境や道路、交通機関、教育、金融制度なども含まれる。それらの分野と比較するならば、医療界では以前から「社会的共通資本」の概念は広く知られており、多くの人によ...   提唱した世界とは真逆の現象  新型コロナウイルス禍で「医療崩壊」の危機が叫ばれたことから、経済学者の故宇沢弘文・東京大学名誉教授が提唱した「社会的共通資本」に改めて注目が集まった。ほかの分野と同様、医療でも近年、経済効率を追い求める風潮ばかりが強まっていたが、新型コロナ禍でも明らかになったように、経済効率一辺倒では必要な医療体制を整備することはできない。世界を席巻してきた市場原理主義的な考え方の弊害が顕在化しているなかで、宇沢の「社会的共通資本」に関心が高まるのも自然な流れだ。  宇沢が「社会的共通資本」の構成要素として挙げたのは医療だけではなく、自然環境や道路、交通機関、教育、金融制度なども含まれる。それらの分野と比較するならば、医療界では以前から「社会的共通資本」の概念は広く知られており、多くの人によって

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