間違いだらけのHTA
レムデシビルをめぐるフランスの動き
第63回
横浜市立大学医学群健康社会医学ユニット東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学 五十嵐中
2020年10月1日号
フランスの医療技術評価機関「高等保健機構」(HAS)は9月17日、ギリアド・サイエンシズの新型コロナウイルス感染症治療薬(COVID─19)治療薬「レムデシビル」(製品名ベクルリー)について、臨床的有用性の評価結果を公表した。保険での負担割合を定める絶対的有用性(SMR)は、低流量の酸素療法を受けている患者が「Faible」(小さい)、それ以外の重症患者(高流量の酸素療法・人工呼吸器・ECMOなど)では「Insuffisant」(不十分)と判断された。
SMRが不十分と判断されると、以前話題になった認知症治療薬と同様、HASの推奨としては「保険給付すべきでない」となる。
HASの決定に先立って8月31日に、ギリアドは保険給付の申請そのものを取り下げた。レムデシビルは現在、欧州医薬品庁(EMA)で条件付き承認となっており、フランスでは未承認薬の暫定的...
フランスの医療技術評価機関「高等保健機構」(HAS)は9月17日、ギリアド・サイエンシズの新型コロナウイルス感染症治療薬(COVID─19)治療薬「レムデシビル」(製品名ベクルリー)について、臨床的有用性の評価結果を公表した。保険での負担割合を定める絶対的有用性(SMR)は、低流量の酸素療法を受けている患者が「Faible」(小さい)、それ以外の重症患者(高流量の酸素療法・人工呼吸器・ECMOなど)では「Insuffisant」(不十分)と判断された。
SMRが不十分と判断されると、以前話題になった認知症治療薬と同様、HASの推奨としては「保険給付すべきでない」となる。
HASの決定に先立って8月31日に、ギリアドは保険給付の申請そのものを取り下げた。レムデシビルは現在、欧州医薬品庁(EMA)で条件付き承認となっており、フランスでは未承認薬の暫定的な使
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