医薬経済オンライン

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鳥集徹の口に苦い話〜媚びないジャーナリストの劇薬処方箋〜

新型コロナの「ワクチン」過剰な期待は禁物だ

第121回

鳥集徹

2020年11月1日号

 一時期、テレビで新型コロナウイルスのことを報じる際、コメンテーターが「とにかく、早くワクチンができることを期待したいですね」と決まり文句のように語るのをよく耳にした。ワクチンが完成すれば、新型コロナを早く収束させることができる。いまでも、そのように期待している人が多いのではないか。  だが、筆者は当初から、ワクチンに過剰な期待は禁物だと思っていた。安全に使えるワクチンが完成したとしても、インフルエンザワクチンと同程度の効果で、新型コロナの流行を抑え込めるほどの力はないだろう。素人ながらそう考えていたのだが、最近、ワクチン研究者を取材する機会があり、さらにその確信を深めた。  なぜインフルエンザワクチンはあまり効かないのか。その理由は血中の抗体価が上がっても、ウイルスが最初に感染する気道(鼻、のど、気管など)の粘膜...  一時期、テレビで新型コロナウイルスのことを報じる際、コメンテーターが「とにかく、早くワクチンができることを期待したいですね」と決まり文句のように語るのをよく耳にした。ワクチンが完成すれば、新型コロナを早く収束させることができる。いまでも、そのように期待している人が多いのではないか。  だが、筆者は当初から、ワクチンに過剰な期待は禁物だと思っていた。安全に使えるワクチンが完成したとしても、インフルエンザワクチンと同程度の効果で、新型コロナの流行を抑え込めるほどの力はないだろう。素人ながらそう考えていたのだが、最近、ワクチン研究者を取材する機会があり、さらにその確信を深めた。  なぜインフルエンザワクチンはあまり効かないのか。その理由は血中の抗体価が上がっても、ウイルスが最初に感染する気道(鼻、のど、気管など)の粘膜の抗

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