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医政羅針盤

財政審での医療改革提案を読んで

山形大学大学院医学系研究科 医療政策学講座教授 村上正泰

2020年11月1日号

 新型コロナウイルス禍で中断していた医療制度改革の議論が再開されつつある。厚生労働省でも、オンライン会議による開催という形式の変化はあるものの、各種審議会や検討会などが開催され、今回の感染症流行への対応以外の問題についても、議論されるようになってきている。財務省でも10月8日に財政制度等審議会財政制度分科会が開かれ、社会保障改革についての議論が行われた。本稿では、今回の財政審の資料について取り上げることにしたい。  医療については、①総論、②患者負担のあり方、③薬剤費の適正化、④ガバナンスの強化、⑤医療扶助、の5項目から構成されている。基本的に従来から財務省が繰り返し提案してきた内容が中心であり、目新しさはあまりない。  例えば、患者負担について、今回の財政審の資料では、後期高齢者への2割負担導入を「可能な限り広...  新型コロナウイルス禍で中断していた医療制度改革の議論が再開されつつある。厚生労働省でも、オンライン会議による開催という形式の変化はあるものの、各種審議会や検討会などが開催され、今回の感染症流行への対応以外の問題についても、議論されるようになってきている。財務省でも10月8日に財政制度等審議会財政制度分科会が開かれ、社会保障改革についての議論が行われた。本稿では、今回の財政審の資料について取り上げることにしたい。  医療については、①総論、②患者負担のあり方、③薬剤費の適正化、④ガバナンスの強化、⑤医療扶助、の5項目から構成されている。基本的に従来から財務省が繰り返し提案してきた内容が中心であり、目新しさはあまりない。  例えば、患者負担について、今回の財政審の資料では、後期高齢者への2割負担導入を「可能な限り広範

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