薬のおカネを議論しよう
学術総会を通じて考える学会と製薬企業のあり方
第30回
医療ガバナンス研究所医師 尾崎章彦
2020年11月15日号
11月5日、6日とワセダクロニクルの連載「隠された乳がんマネー」が更新された。この連載は、私が製薬マネーの問題に関わる契機となった「CREATE―X」試験について取り上げたものだ。CREATE―Xはハイリスク乳がん患者に対する中外製薬の「ゼローダ」の死亡率低減効果について示した日韓共同の臨床試験である。その結果は17年に『ニューイングランド医学誌』にも掲載された。
論文発表当時、私や有志の医師はこの論文にいくつかの「金銭的な」問題があることに気が付いた。ゼローダは日本で、現在に至るまで転移再発乳がんに対しての保険適用が認められているだけである。しかし、根治手術後の補助療法に用いられたこの臨床試験では、本来研究費として賄うべき費用が公的保険で請求されており、その費用は1億円を超えていた。我われはこの問題について論文などで発表するとともに、背景につ...
11月5日、6日とワセダクロニクルの連載「隠された乳がんマネー」が更新された。この連載は、私が製薬マネーの問題に関わる契機となった「CREATE―X」試験について取り上げたものだ。CREATE―Xはハイリスク乳がん患者に対する中外製薬の「ゼローダ」の死亡率低減効果について示した日韓共同の臨床試験である。その結果は17年に『ニューイングランド医学誌』にも掲載された。
論文発表当時、私や有志の医師はこの論文にいくつかの「金銭的な」問題があることに気が付いた。ゼローダは日本で、現在に至るまで転移再発乳がんに対しての保険適用が認められているだけである。しかし、根治手術後の補助療法に用いられたこの臨床試験では、本来研究費として賄うべき費用が公的保険で請求されており、その費用は1億円を超えていた。我われはこの問題について論文などで発表するとともに、背景について
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