読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー
医者は逃げて熟議を促せ
第157回
大西一幸
2020年11月15日号
だから、もう眠らせてほしい 僕は医師として、安楽死を世界から無くしたいと思っていた
西智弘、晶文社、2020年7月刊
西智弘氏の本を読むのは今年2度目。前回読んだのは5月に刊行された『社会的処方』(6月1日号)。英国を中心に、孤立・孤独から生まれる病理に医療機関を軸にした社会のつながりを見直そうという主張と活動の報告だ。今回はずばり「安楽死」がテーマである。
7月に発覚した京都でのALSの女性患者の安楽死事件では、2人の医師が逮捕された。この本も7月に出版されたが、事件とは直接的な関連はない。しかし、京都の事件は衝撃的で、西氏の著書を再び取りあげることとした。
私は、現在の国内状況下で安楽死を認めることに強い拒絶感を持っている。とくに、医師が安易に死生観に言及することには同意できない。死生観はそれぞれの人の境地であ...
だから、もう眠らせてほしい 僕は医師として、安楽死を世界から無くしたいと思っていた
西智弘、晶文社、2020年7月刊
西智弘氏の本を読むのは今年2度目。前回読んだのは5月に刊行された『社会的処方』(6月1日号)。英国を中心に、孤立・孤独から生まれる病理に医療機関を軸にした社会のつながりを見直そうという主張と活動の報告だ。今回はずばり「安楽死」がテーマである。
7月に発覚した京都でのALSの女性患者の安楽死事件では、2人の医師が逮捕された。この本も7月に出版されたが、事件とは直接的な関連はない。しかし、京都の事件は衝撃的で、西氏の著書を再び取りあげることとした。
私は、現在の国内状況下で安楽死を認めることに強い拒絶感を持っている。とくに、医師が安易に死生観に言及することには同意できない。死生観はそれぞれの人の境地であっ
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