医薬経済オンライン

医療・医薬業界をさまざまな視点・論点から示すメディア

上昌広の日本医療の診立て

学術会議の構造問題と東大「看板学部」の凋落

第3回

医療ガバナンス研究所理事長

2020年12月1日号

 日本学術会議のあり方が問われている。メディアは、学問の自由という観点から菅義偉政権の手法を批判しているが、本稿では「学界のガバナンス」という視点から論じたい。  まずは、学術会議の特殊性だ。この組織は、法に基づいて設置されており、政府に「勧告」する権限を与えられている。通常の学会組織とは権限や影響力が違う。同会議は、人文・社会科学、生命科学、理学・工学の3部会から構成される。では、そのガバナンスはどうなっているだろう。  筆者の周囲には、それぞれの分野に会員あるいは連携会員が存在する。彼らが口を揃えて言うのは、「声が大きい連中が仕切る」会議の体質だ。人間社会だから、「声の大きい連中が仕切る」傾向があるのは当たり前だが、重要なのは、どんな人たちの声が大きいかである。  知人の元会員は、「断トツ...  日本学術会議のあり方が問われている。メディアは、学問の自由という観点から菅義偉政権の手法を批判しているが、本稿では「学界のガバナンス」という視点から論じたい。  まずは、学術会議の特殊性だ。この組織は、法に基づいて設置されており、政府に「勧告」する権限を与えられている。通常の学会組織とは権限や影響力が違う。同会議は、人文・社会科学、生命科学、理学・工学の3部会から構成される。では、そのガバナンスはどうなっているだろう。  筆者の周囲には、それぞれの分野に会員あるいは連携会員が存在する。彼らが口を揃えて言うのは、「声が大きい連中が仕切る」会議の体質だ。人間社会だから、「声の大きい連中が仕切る」傾向があるのは当たり前だが、重要なのは、どんな人たちの声が大きいかである。  知人の元会員は、「断トツで

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