教育なき幹部看護師の弊害 | 医薬経済オンライン

平時医療体制の破綻に備える〜電光石火こそ最良の有事医療〜

教育なき幹部看護師の弊害

第118回

琉球大学医学部非常勤講師　照井資規

2021年2月15日号

「指揮系統って何？」　14年5月、自衛隊富士病院（静岡県小山町）の病棟師長は筆者が思わず耳を疑うような発言をした。彼女は正看護師で、1等陸尉の陸上自衛隊幹部であるにもかかわらず、指揮系統について知らないのだ。師長クラスの看護官（※1）が専門学校卒で体系的な幹部教育を受けておらず、新人看護官が防衛医科大学校卒で幹部教育を受けて配置される問題を取り上げてきたが、これは筆者が体験した具体例だ。　14年、筆者は毎年5月に豪州で開催される「射撃競技会」（AASAM（※2））に陸上自衛隊選手団の同行研究員として参加した。主な任務は他国の歩兵が個人で携行する銃火器や防弾ベストなどの装備品に関する情報収集だ。筆者は帰国途中にマイコプラズマ肺炎を発症し、自衛隊富士病院に入院した。冒頭の会話は退院時に交わしたものだ。　筆者だけでなく、... 「指揮系統って何？」　14年5月、自衛隊富士病院（静岡県小山町）の病棟師長は筆者が思わず耳を疑うような発言をした。彼女は正看護師で、1等陸尉の陸上自衛隊幹部であるにもかかわらず、指揮系統について知らないのだ。師長クラスの看護官（※1）が専門学校卒で体系的な幹部教育を受けておらず、新人看護官が防衛医科大学校卒で幹部教育を受けて配置される問題を取り上げてきたが、これは筆者が体験した具体例だ。　14年、筆者は毎年5月に豪州で開催される「射撃競技会」（AASAM（※2））に陸上自衛隊選手団の同行研究員として参加した。主な任務は他国の歩兵が個人で携行する銃火器や防弾ベストなどの装備品に関する情報収集だ。筆者は帰国途中にマイコプラズマ肺炎を発症し、自衛隊富士病院に入院した。冒頭の会話は退院時に交わしたものだ。　筆者だけでなく、参

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