読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー
死なせてあげるためのいくつか
第166回
大西一幸
2021年4月1日号
ヘンリー・マーシュ
大塚紳一郎訳
2020年12月刊
このコラムは、私の関心と、たぶんにのぞき見的な興味と、独断と偏見で選びだされた本を対象にしている。“偏見”に近い点でいうと、医師が安楽死を肯定的に書き連ねる本はあまり選びたくないという気持ちを優先することが多い。
私は、医師が安楽死や尊厳死を語ることに不信感を持っている。医師が死を語ることが特権的に許されるとの前提に立っていることが、鼻につくというか、白ける。死の近くにいるという理由付けで医師がその先頭に立つ、教師であるとの理屈は受け入れ難い。そして、昨年の医師2人による自殺幇助のケースは私にその思いをかなり確信に近づけた。死は誰にでも訪れる。そして自分が死ぬことを知っているのは人間だけだ。医師だけが死の本質を知っているわけではない。高齢社会で起こっている矛盾に満ち...
ヘンリー・マーシュ
大塚紳一郎訳
2020年12月刊
このコラムは、私の関心と、たぶんにのぞき見的な興味と、独断と偏見で選びだされた本を対象にしている。“偏見”に近い点でいうと、医師が安楽死を肯定的に書き連ねる本はあまり選びたくないという気持ちを優先することが多い。
私は、医師が安楽死や尊厳死を語ることに不信感を持っている。医師が死を語ることが特権的に許されるとの前提に立っていることが、鼻につくというか、白ける。死の近くにいるという理由付けで医師がその先頭に立つ、教師であるとの理屈は受け入れ難い。そして、昨年の医師2人による自殺幇助のケースは私にその思いをかなり確信に近づけた。死は誰にでも訪れる。そして自分が死ぬことを知っているのは人間だけだ。医師だけが死の本質を知っているわけではない。高齢社会で起こっている矛盾に満ちた医
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