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医工連携

次世代核酸医薬を提案

医工連携の実践者42 岡本晃充 東京大学教授

2021年4月15日号

 代謝拮抗剤と呼ばれるジャンルの抗がん剤は、分子の基本骨格がDNAやRNAに含まれる核酸塩基と同じため、DNAやRNAの塩基配列中に割り込むことがある。割り込まれた核酸は合成や翻訳が阻害され、その細胞も異常をきたす。こうした機序の代謝拮抗剤は、殺細胞効果が高い一方、腫瘍細胞と正常細胞の区別なく作用する原理のため、副作用も強い。  そんな代謝拮抗剤「フロクスウリジン」を6分子連結し、低酸素環境下で外れる保護基を付けてから担がんマウスに静脈注射したところ、腫瘍の増殖を有意に抑制したという論文が、3月の『Journal of the American Chemical Society』誌に掲載された。腫瘍局所で保護基が外れ、ヌクレアーゼによってフロクスウリジン単体まで分解された結果、抗腫瘍効果が出たと考えられる。低酸素状態は、増殖が活発な腫瘍組織の特徴で、X線照射など酸素か...  代謝拮抗剤と呼ばれるジャンルの抗がん剤は、分子の基本骨格がDNAやRNAに含まれる核酸塩基と同じため、DNAやRNAの塩基配列中に割り込むことがある。割り込まれた核酸は合成や翻訳が阻害され、その細胞も異常をきたす。こうした機序の代謝拮抗剤は、殺細胞効果が高い一方、腫瘍細胞と正常細胞の区別なく作用する原理のため、副作用も強い。  そんな代謝拮抗剤「フロクスウリジン」を6分子連結し、低酸素環境下で外れる保護基を付けてから担がんマウスに静脈注射したところ、腫瘍の増殖を有意に抑制したという論文が、3月の『Journal of the American Chemical Society』誌に掲載された。腫瘍局所で保護基が外れ、ヌクレアーゼによってフロクスウリジン単体まで分解された結果、抗腫瘍効果が出たと考えられる。低酸素状態は、増殖が活発な腫瘍組織の特徴で、X線照射など酸素から

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