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財界論

春闘「あれこれ」 曲がり角の賃金政策

第8回

茨城大学名誉教授 古賀純一郎

2021年5月15日号

 新型コロナウイルス禍の直撃で大打撃を受けている業界が少なくないなかで終了した今年の春闘。「巣ごもり需要」の恩恵を受けて満額回答のトヨタ自動車、ホンダなどと、需要の「蒸発」でゼロ回答となった航空・旅行業界などの格差が目立った。  連合の集計によると、平均賃上げ率は1.82%(月額5463円)で前年を下回る水準。これに驚いたのか、菅義偉首相は先の経済財政諮問会議で最低賃金の1000円への引き上げの必要性を強調した。景気回復のためにも企業経営者は、渋ちん一本鎗の賃金に対する考え方を改める時期に来ているようだ。 「日本の賃金水準がいつの間にか経済協力開発機構(OECD)の中で相当下位になっている」  今年の春闘はのっけから異例の展開となった。幕開けとなるトップ同士の1月のオンライン交渉で日本経団連の中西宏明会長がこんな発言をし...  新型コロナウイルス禍の直撃で大打撃を受けている業界が少なくないなかで終了した今年の春闘。「巣ごもり需要」の恩恵を受けて満額回答のトヨタ自動車、ホンダなどと、需要の「蒸発」でゼロ回答となった航空・旅行業界などの格差が目立った。  連合の集計によると、平均賃上げ率は1.82%(月額5463円)で前年を下回る水準。これに驚いたのか、菅義偉首相は先の経済財政諮問会議で最低賃金の1000円への引き上げの必要性を強調した。景気回復のためにも企業経営者は、渋ちん一本鎗の賃金に対する考え方を改める時期に来ているようだ。 「日本の賃金水準がいつの間にか経済協力開発機構(OECD)の中で相当下位になっている」  今年の春闘はのっけから異例の展開となった。幕開けとなるトップ同士の1月のオンライン交渉で日本経団連の中西宏明会長がこんな発言をしたか

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