「江戸の敵を長崎で討つ」検察
医薬業界を「目の敵」にする訳とは
元特捜部主任検事 前田恒彦
2021年6月15日号
医薬業界を震撼させた2つの事件が佳境を迎えている。医薬品卸4社による談合事件と、三重大学医学部附属病院を舞台にした小野薬品工業をめぐる汚職だ。
両者に共通するのは、検察が長年にわたる医薬業界の「悪しき慣習」に異例の捜査・公判態勢で果敢に切り込んだことだろう。業界からすると、なぜ自分たちばかりを「目の敵」にするのかと思いたくなるのではないか。
小野社員は認めたが元教授は争う構え
スケールアップした談合事件
まず卸談合は、公正取引委員会による一昨年11月の犯則調査に端を発する。公取委も検察も年度内処理を重視する「お役所」であるうえ、ひとつ前のリニア談合が犯則調査から告発、起訴まで3ヵ月だったことから、卸談合も早ければ昨年2月頃には告発に至るとみられていた。
犯則調査前に我先にとメデ...
医薬業界を震撼させた2つの事件が佳境を迎えている。医薬品卸4社による談合事件と、三重大学医学部附属病院を舞台にした小野薬品工業をめぐる汚職だ。
両者に共通するのは、検察が長年にわたる医薬業界の「悪しき慣習」に異例の捜査・公判態勢で果敢に切り込んだことだろう。業界からすると、なぜ自分たちばかりを「目の敵」にするのかと思いたくなるのではないか。
小野社員は認めたが元教授は争う構え
スケールアップした談合事件
まず卸談合は、公正取引委員会による一昨年11月の犯則調査に端を発する。公取委も検察も年度内処理を重視する「お役所」であるうえ、ひとつ前のリニア談合が犯則調査から告発、起訴まで3ヵ月だったことから、卸談合も早ければ昨年2月頃には告発に至るとみられていた。
犯則調査前に我先にとメディ
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