医薬経済オンライン

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読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー

「すべり坂」に衝立を設けよ

第171回

大西一幸

2021年6月15日号

医療倫理超入門マイケル・ダン/トニー・ホープ 児玉聡/赤林朗訳 岩波書店 2020年10月刊  ごはん論法とか、東大話法とか、こういう言い方、詭弁を弄する人たちを論破する表現を一言で見つけた人は偉い、と思っている。「ごはん論法」ってネーミングは本当にスゴイ。「朝ごはんは何を食べましたか」と訊かれて、「ごはんは食べてません」と答える人いますね、朝食はパンだったんだから嘘はついてないって。東大話法の典型は、「アンタの話は聞いたけど、言い方が失礼だ」ってやつ。  またひねくれた論法で、世間の言説の流れを揶揄してみせるパラドックス的なエッセイを書く人が私は好きだ。熱狂的なファンである。『ツチヤの口車』(週刊文春)を連載している土屋賢二さんはその代表格だが、彼は哲学者なのだ。日本中の街の音がうるさい、無駄な明かりが多過ぎると真正面... 医療倫理超入門マイケル・ダン/トニー・ホープ 児玉聡/赤林朗訳 岩波書店 2020年10月刊  ごはん論法とか、東大話法とか、こういう言い方、詭弁を弄する人たちを論破する表現を一言で見つけた人は偉い、と思っている。「ごはん論法」ってネーミングは本当にスゴイ。「朝ごはんは何を食べましたか」と訊かれて、「ごはんは食べてません」と答える人いますね、朝食はパンだったんだから嘘はついてないって。東大話法の典型は、「アンタの話は聞いたけど、言い方が失礼だ」ってやつ。  またひねくれた論法で、世間の言説の流れを揶揄してみせるパラドックス的なエッセイを書く人が私は好きだ。熱狂的なファンである。『ツチヤの口車』(週刊文春)を連載している土屋賢二さんはその代表格だが、彼は哲学者なのだ。日本中の街の音がうるさい、無駄な明かりが多過ぎると真正面か

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