医工連携
肺への汎用DDSを開発
医工連携の実践者49 原島秀吉 北海道大学教授
2021年8月1日号
疾病の原因となっている組織や臓器にmRNAやsiRNAなどの核酸を送り込み、発現するタンパク質を変えさせて治療につなげようとする核酸医薬品の実用化には、医薬品の本体である核酸を守ったまま目標へ特異的かつ効率的に届ける必要があり、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)が不可欠だ。
現在のところDDSとして、脂質ナノ粒子のカプセルに核酸を収容する手法が広く用いられている。脂質ナノカプセルは、血中に入れると肝臓に集積しやすい。そんなこともあり、肝臓で機能する核酸医薬品はすでに実用化されている。
一方、肝臓以外へ選択的かつ効率的に送り届けるには、目標に好発している受容体と親和性を持つペプチドや糖鎖など(標的化リガンドと呼ぶ)をカプセル表面に付ける加工が必要と考えられてきた。実用に耐える標的化リガンドは少なく、しかも一...
疾病の原因となっている組織や臓器にmRNAやsiRNAなどの核酸を送り込み、発現するタンパク質を変えさせて治療につなげようとする核酸医薬品の実用化には、医薬品の本体である核酸を守ったまま目標へ特異的かつ効率的に届ける必要があり、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)が不可欠だ。
現在のところDDSとして、脂質ナノ粒子のカプセルに核酸を収容する手法が広く用いられている。脂質ナノカプセルは、血中に入れると肝臓に集積しやすい。そんなこともあり、肝臓で機能する核酸医薬品はすでに実用化されている。
一方、肝臓以外へ選択的かつ効率的に送り届けるには、目標に好発している受容体と親和性を持つペプチドや糖鎖など(標的化リガンドと呼ぶ)をカプセル表面に付ける加工が必要と考えられてきた。実用に耐える標的化リガンドは少なく、しかも一般に
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