保険薬局の未来に向けた戦略とマネジメント
訪問薬剤師ステーションに込めた願いと覚悟(前編)
日本経済大学大学院経営学研究科教授 赤瀬朋秀
2021年8月15日号
21年夏、横浜市保土ヶ谷区に新たな薬局が産声を上げた。介護や訪問マッサージ、訪問歯科診療サポートといった事業を手掛けるHASC事業団が運営する「訪問薬剤師ステーションHASC(ハスク)薬局」である。経済財政諮問会議や財務省、医師会などから保険薬局は厳しい視線で見られている。厚生労働省が発表した19年度衛生行政報告例の概況(21年2月18日)によると、現在、保険薬局の数は6万171軒ある。コンビニエンスストアと比較しても、それを上回る数である。牛丼チェーンは大手御三家を合計しても5000軒に満たない水準であり、駅前に牛丼屋が1件あったら、地域に薬局が14件ある計算になる。数の面では十分に普及しており、それが調剤医療費に直接関係するとなると批判はよりきつくなる。
このように、保険薬局に対する風当たりが極めて強いなか、訪問薬剤師ステーションと...
21年夏、横浜市保土ヶ谷区に新たな薬局が産声を上げた。介護や訪問マッサージ、訪問歯科診療サポートといった事業を手掛けるHASC事業団が運営する「訪問薬剤師ステーションHASC(ハスク)薬局」である。経済財政諮問会議や財務省、医師会などから保険薬局は厳しい視線で見られている。厚生労働省が発表した19年度衛生行政報告例の概況(21年2月18日)によると、現在、保険薬局の数は6万171軒ある。コンビニエンスストアと比較しても、それを上回る数である。牛丼チェーンは大手御三家を合計しても5000軒に満たない水準であり、駅前に牛丼屋が1件あったら、地域に薬局が14件ある計算になる。数の面では十分に普及しており、それが調剤医療費に直接関係するとなると批判はよりきつくなる。
このように、保険薬局に対する風当たりが極めて強いなか、訪問薬剤師ステーションという
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