中動態の世界から眺める | 医薬経済オンライン

読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー

中動態の世界から眺める

第175回

大西一幸

2021年8月15日号

〈責任〉の生成─中動態と当事者研究熊谷晋一郎　國分功一郎新曜社 2020年12月刊　サブタイトルが「——中動態と当事者研究」。何となく手にしたものの、タイトルと一体化している（ように私には思える）このセンテンスを眺めただけで、私の資質では書棚に戻すべき本である。何を書いているのか、書かれているのか、対談形式の講義録なので、正確には「何が語られているのか」だろうが、見当さえつかない。ただかつて、このコラムで熊谷晋一郎氏の『リハビリの夜』を読んだ。その記憶を辿りつつ、かなり無理やりな思い付きで読むことにした。『リハビリの夜』の読書も実は難渋した。重度の身体障害を持つ少年の排泄介助をした経験時のことが、読後に冷汗三斗の感覚の変化につながったことをまだ記憶する。まなざし／まなざされる側の関係性のあり様、とくに私が少年の体... 〈責任〉の生成─中動態と当事者研究熊谷晋一郎　國分功一郎新曜社 2020年12月刊　サブタイトルが「——中動態と当事者研究」。何となく手にしたものの、タイトルと一体化している（ように私には思える）このセンテンスを眺めただけで、私の資質では書棚に戻すべき本である。何を書いているのか、書かれているのか、対談形式の講義録なので、正確には「何が語られているのか」だろうが、見当さえつかない。ただかつて、このコラムで熊谷晋一郎氏の『リハビリの夜』を読んだ。その記憶を辿りつつ、かなり無理やりな思い付きで読むことにした。『リハビリの夜』の読書も実は難渋した。重度の身体障害を持つ少年の排泄介助をした経験時のことが、読後に冷汗三斗の感覚の変化につながったことをまだ記憶する。まなざし／まなざされる側の関係性のあり様、とくに私が少年の体の一

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