コロナ禍後に来る危機に備える①

平時医療体制の破綻に備える〜電光石火こそ最良の有事医療〜

コロナ禍後に来る危機に備える①

第131回

琉球大学医学部非常勤講師　照井資規

2021年9月1日号

　新興感染症の感染拡大、自然災害、大規模な事故など、いずれも最も問題を深刻化させるのは「人の要素」だ。それでは、人の要素に最も有効な対策を講じる手段は何か、それは戦術的思考にほかならない。戦争は人類にとって最大の害悪であり、推移を予測できないため対応が最も困難である。人の要素が最も作用する害悪である一方で、人が始めることであるから人の手で止められる希望もある。　自然災害や事故は発生当初の段階の破壊が最も大きく、以降は収束に向けて一方的に状況が推移し、人の悪意による作用が働きにくい。戦争はその真逆だ。人の悪意に基づいて、最も予測しがたく苦痛となる戦闘を仕掛けてくる。人の要素による影響を受けやすい新興感染症は、その中間と言える。　不幸は決して単独でやってこない、感染症蔓延の次に戦争という危機が訪れることは、人類の歴... 　新興感染症の感染拡大、自然災害、大規模な事故など、いずれも最も問題を深刻化させるのは「人の要素」だ。それでは、人の要素に最も有効な対策を講じる手段は何か、それは戦術的思考にほかならない。戦争は人類にとって最大の害悪であり、推移を予測できないため対応が最も困難である。人の要素が最も作用する害悪である一方で、人が始めることであるから人の手で止められる希望もある。　自然災害や事故は発生当初の段階の破壊が最も大きく、以降は収束に向けて一方的に状況が推移し、人の悪意による作用が働きにくい。戦争はその真逆だ。人の悪意に基づいて、最も予測しがたく苦痛となる戦闘を仕掛けてくる。人の要素による影響を受けやすい新興感染症は、その中間と言える。　不幸は決して単独でやってこない、感染症蔓延の次に戦争という危機が訪れることは、人類の歴史の

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