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財界論

「財界の先駆者」渋沢栄一(上)初の商工会議所を創設

第13回

茨城大学名誉教授 古賀純一郎

2021年10月15日号

出典:国立国会図書館ウェブサイト  NHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一は、「日本資本主義の父」「明治実業界のリーダー」などの異名でも知られる立志伝中の偉人だ。設立などに関わった会社は500社とも言われ、まさに、「民間における我が資本主義の最高指導者」(土屋喬雄・東京大学名誉教授)だろう。だが、財界の誕生で大きな役割を果たした先駆者であることは意外に知られていない。なぜ創設し、何を求めたのか。その歴史や今日的な意義に迫った。  渋沢は米東インド艦隊司令長官ペリーが4隻の黒船を率いて浦賀に現れる幕末動乱期の少し前の1840(天保11)年3月に生まれた。現在の埼玉県深谷市の寒村にくすぶっていた渋沢を中央の官・財界へ押し上げたのは運の良さに尽きる。  尊王攘夷思想に染まっていた一介の農民が、ひょんなことから知... 出典:国立国会図書館ウェブサイト  NHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一は、「日本資本主義の父」「明治実業界のリーダー」などの異名でも知られる立志伝中の偉人だ。設立などに関わった会社は500社とも言われ、まさに、「民間における我が資本主義の最高指導者」(土屋喬雄・東京大学名誉教授)だろう。だが、財界の誕生で大きな役割を果たした先駆者であることは意外に知られていない。なぜ創設し、何を求めたのか。その歴史や今日的な意義に迫った。  渋沢は米東インド艦隊司令長官ペリーが4隻の黒船を率いて浦賀に現れる幕末動乱期の少し前の1840(天保11)年3月に生まれた。現在の埼玉県深谷市の寒村にくすぶっていた渋沢を中央の官・財界へ押し上げたのは運の良さに尽きる。  尊王攘夷思想に染まっていた一介の農民が、ひょんなことから知恵

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