読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー
コロナ対策での政治の無力さ
第179回
大西一幸
2021年10月15日号
コロナ狂騒録 COVID-19 CRAZINESS
海堂尊
宝島社出版/2021年9月刊
もちろん独断と偏見だが、日本における新型コロナウイルス感染の封じ込めが失敗したのは、PCR検査に対して行政府が及び腰だったからだ。出発から間違っていた。素人考えかもしれないが、感染症対策はパンデミックの規模と拡大状況を把握しながら、医療体制や衛生政策を立案・更新していくのが基本的な考え方なのではないだろうか、と常々思っていた。例えば、昨年のダイヤモンド・プリンセス号以後の動きでも、海外、とくに先進国ではPCR検査に力を入れているニュースが盛んに流れた。
しかし、当時の記憶を辿ると、国内ではなぜかPCR検査を拡大すべき派とすべきではない派の議論が国内では勃発していて、政府をはじめ、政策決定側はこぞって後者だった。検査の充実によって感染の状況を...
コロナ狂騒録 COVID-19 CRAZINESS
海堂尊
宝島社出版/2021年9月刊
もちろん独断と偏見だが、日本における新型コロナウイルス感染の封じ込めが失敗したのは、PCR検査に対して行政府が及び腰だったからだ。出発から間違っていた。素人考えかもしれないが、感染症対策はパンデミックの規模と拡大状況を把握しながら、医療体制や衛生政策を立案・更新していくのが基本的な考え方なのではないだろうか、と常々思っていた。例えば、昨年のダイヤモンド・プリンセス号以後の動きでも、海外、とくに先進国ではPCR検査に力を入れているニュースが盛んに流れた。
しかし、当時の記憶を辿ると、国内ではなぜかPCR検査を拡大すべき派とすべきではない派の議論が国内では勃発していて、政府をはじめ、政策決定側はこぞって後者だった。検査の充実によって感染の状況を把握
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