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薬のおカネを議論しよう

PMDA回顧録

第52回

医療ガバナンス研究所医師  谷本哲也

2021年11月1日号

 10月1日、医薬品医療機器総合機構(PMDA)前理事長の近藤達也先生が79歳でご逝去されたことが報じられた。11年の長きに渡り理事長を務められた近藤先生に哀悼の意を表するとともに、この機会に当時のPMDAの状況についていま一度振り返りたい。  近藤先生が前職の旧国立国際医療センター病院長から、04年に設立されていたPMDAへと着任されたのは08年のことだった。私は丁度その前年に、医学部助教からPMDAの医学担当審査員に転職していた。臨床現場とはだいぶ異なる医薬品審査の業務にようやく慣れ始めた頃、突然全職員が呼び集められ、理事長の交代が発表されたことをよく記憶している。  当時、血液凝固因子製剤のウイルス汚染に起因する薬害肝炎訴訟が大きな社会問題となっていた。06〜07年には、各地の地方裁判所で結審され、国と製薬会社の責任を一部認める判決が言い渡...  10月1日、医薬品医療機器総合機構(PMDA)前理事長の近藤達也先生が79歳でご逝去されたことが報じられた。11年の長きに渡り理事長を務められた近藤先生に哀悼の意を表するとともに、この機会に当時のPMDAの状況についていま一度振り返りたい。  近藤先生が前職の旧国立国際医療センター病院長から、04年に設立されていたPMDAへと着任されたのは08年のことだった。私は丁度その前年に、医学部助教からPMDAの医学担当審査員に転職していた。臨床現場とはだいぶ異なる医薬品審査の業務にようやく慣れ始めた頃、突然全職員が呼び集められ、理事長の交代が発表されたことをよく記憶している。  当時、血液凝固因子製剤のウイルス汚染に起因する薬害肝炎訴訟が大きな社会問題となっていた。06〜07年には、各地の地方裁判所で結審され、国と製薬会社の責任を一部認める判決が言い渡さ

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