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医工連携

視覚再生に高感度タンパク質

医工連携の実践者56 冨田浩史 岩手大学教授

2021年11月15日号

 国内だけでも患者が3万人近くいる網膜色素変性症は、網膜の視細胞と色素上皮細胞が変性して徐々に機能を失い、矯正視力0.1以下の社会的失明に至ることも多い指定難病だ。現時点で確立された治療法はない。その患者の網膜細胞へ緑藻類由来の遺伝子「クリムゾン」を組み込んで視覚を回復させた、との論文が21年5月の『Nature Medicine』誌に掲載され、話題になったのをご記憶の方もいるだろう。  この臨床研究は、本連載9月15日号でも紹介した光遺伝学の応用で、フランス企業が資金提供して欧米の研究者によって行われた。網膜色素変性症で光感受性を持つ視細胞は失われるけれども、網膜から脳への神経回路は残っていることを利用し、情報処理の下流にあってスパイク(電気信号)を発生する役割の神経節細胞に遺伝子導入して光感受性を持たせ、疑似的に視覚を再生させようとす...  国内だけでも患者が3万人近くいる網膜色素変性症は、網膜の視細胞と色素上皮細胞が変性して徐々に機能を失い、矯正視力0.1以下の社会的失明に至ることも多い指定難病だ。現時点で確立された治療法はない。その患者の網膜細胞へ緑藻類由来の遺伝子「クリムゾン」を組み込んで視覚を回復させた、との論文が21年5月の『Nature Medicine』誌に掲載され、話題になったのをご記憶の方もいるだろう。  この臨床研究は、本連載9月15日号でも紹介した光遺伝学の応用で、フランス企業が資金提供して欧米の研究者によって行われた。網膜色素変性症で光感受性を持つ視細胞は失われるけれども、網膜から脳への神経回路は残っていることを利用し、情報処理の下流にあってスパイク(電気信号)を発生する役割の神経節細胞に遺伝子導入して光感受性を持たせ、疑似的に視覚を再生させようとする

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