技術革新と製薬企業の明日
抗がん剤「薬剤耐性」問題に光
第133回 第三世代の「BCR-ABL阻害剤」が登場
宮田総研代表取締役 宮田満
2021年11月15日号
抗がん剤の「宿痾」であった薬剤耐性問題に終止符を打つ可能性のある第三世代の分子標的薬が米国で発売された。人類はがん制圧の大きな手掛かりを得た。分子標的薬の開発の最終段階に入る技術突破が起こったのだ。
2001年に世界初の分子標的薬としてデビューした慢性骨髄性白血病の治療薬「グリベック」(イマチニブ、スイス・ノバルティス)は、従来のがん化学療法の重い副作用の頸木を解放した。その後、がんの増殖を促進するタンパク質、主にタンパクキナーゼ(チロシンキナーゼなど)の阻害剤は現在、世界で100種類以上も製品化された。いまや分子標的薬は、外科手術、放射線治療、化学抗がん剤、がん免疫療法と並びがん治療の5本柱のひとつとして定着した。
ところが、残念なことに、いままでの化学抗がん剤同様、分子標的薬でも治療開始から1年から数年以内にがん細...
抗がん剤の「宿痾」であった薬剤耐性問題に終止符を打つ可能性のある第三世代の分子標的薬が米国で発売された。人類はがん制圧の大きな手掛かりを得た。分子標的薬の開発の最終段階に入る技術突破が起こったのだ。
2001年に世界初の分子標的薬としてデビューした慢性骨髄性白血病の治療薬「グリベック」(イマチニブ、スイス・ノバルティス)は、従来のがん化学療法の重い副作用の頸木を解放した。その後、がんの増殖を促進するタンパク質、主にタンパクキナーゼ(チロシンキナーゼなど)の阻害剤は現在、世界で100種類以上も製品化された。いまや分子標的薬は、外科手術、放射線治療、化学抗がん剤、がん免疫療法と並びがん治療の5本柱のひとつとして定着した。
ところが、残念なことに、いままでの化学抗がん剤同様、分子標的薬でも治療開始から1年から数年以内にがん細胞
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