薬のおカネを議論しよう
製薬企業の講演会で講師を務めた理由
第53回
医療ガバナンス研究所医師 尾崎章彦
2021年11月15日号
筆者は常日頃、医療者が製薬企業と金銭的なつながりを持つことを批判している。しかし、縁あって10月に、日本イーライリリーが地域の薬剤師を対象に実施した講演会で講師を務めることとなった。本稿では、自身の活動と矛盾する仕事を受けた理由とその感想について紹介したい。
筆者が今回の仕事を受けた最大の理由は、同社の担当MRである清水直樹氏の存在である。清水氏との出会いは20年12月に遡る。引き継ぎのために、前任MRとともに筆者の乳腺外科の外来にいらっしゃった。そのときから誠実さが伝わる方だった。印象的だったのは、製薬企業のプロモーション活動を批判する筆者の活動をご存知で、自らその話を持ち出したことだ。同時に、利益一辺倒の製薬企業の姿勢にも反省を述べていた。
当然だが、筆者と望んで関わろうとするMRはほとんどいない。そのため、清水氏の...
筆者は常日頃、医療者が製薬企業と金銭的なつながりを持つことを批判している。しかし、縁あって10月に、日本イーライリリーが地域の薬剤師を対象に実施した講演会で講師を務めることとなった。本稿では、自身の活動と矛盾する仕事を受けた理由とその感想について紹介したい。
筆者が今回の仕事を受けた最大の理由は、同社の担当MRである清水直樹氏の存在である。清水氏との出会いは20年12月に遡る。引き継ぎのために、前任MRとともに筆者の乳腺外科の外来にいらっしゃった。そのときから誠実さが伝わる方だった。印象的だったのは、製薬企業のプロモーション活動を批判する筆者の活動をご存知で、自らその話を持ち出したことだ。同時に、利益一辺倒の製薬企業の姿勢にも反省を述べていた。
当然だが、筆者と望んで関わろうとするMRはほとんどいない。そのため、清水氏の姿勢
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