医薬経済オンライン

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読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー

結局は使う人間の問題

第181回

大西一幸

2021年11月15日号

サリドマイド 復活した「悪魔の薬」 栢森良二 PHPエディターズ・グループ/幻冬舎/2021年6月刊  医薬品業界の専門紙記者として初めて味わった衝撃的な取材は、1974年10月13日、東京都千代田区の都道府県会館での全国サリドマイド訴訟和解確認書調印式である。医薬品副作用の「怖さ」を思い知らされた瞬間で、当時の自分には他人事ではない名状しがたい「心の痛み」を伴う取材だった。新米記者には調印時の写真撮影が重要な任務だったが、写真の出来栄えに関する記憶はまったくなく、震える指が何度もシャッターボタンの上で空を切ったような感覚が残っている。  サリドマイドは「悪魔の薬」と私の脳にインプットされ、ごく最近まで強固に剝がれることはなかった。がん治療や一部の感染症治療薬として再評価されている情報を知らなかったわけではないが、かなり特殊で... サリドマイド 復活した「悪魔の薬」 栢森良二 PHPエディターズ・グループ/幻冬舎/2021年6月刊  医薬品業界の専門紙記者として初めて味わった衝撃的な取材は、1974年10月13日、東京都千代田区の都道府県会館での全国サリドマイド訴訟和解確認書調印式である。医薬品副作用の「怖さ」を思い知らされた瞬間で、当時の自分には他人事ではない名状しがたい「心の痛み」を伴う取材だった。新米記者には調印時の写真撮影が重要な任務だったが、写真の出来栄えに関する記憶はまったくなく、震える指が何度もシャッターボタンの上で空を切ったような感覚が残っている。  サリドマイドは「悪魔の薬」と私の脳にインプットされ、ごく最近まで強固に剝がれることはなかった。がん治療や一部の感染症治療薬として再評価されている情報を知らなかったわけではないが、かなり特殊で稀

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