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医工連携

低分子アルファ線薬に道開く

医工連携の実践者57 上原知也 千葉大学教授

2021年12月1日号

 特定の元素(核種)が崩壊する際に放出されるアルファ線(ヘリウムの原子核)は、細胞数個分の飛程しかない一方、当たったときの細胞殺傷力が強い。よって、その核種をがん組織に集められれば、効果が高く副作用は少ない治療法になるのでないか、と世界中で研究が進められている。  必要な要素は、半減期が適度な長さのアルファ線核種と、それをがん組織に集める方法だ。開発過程では、ターゲット部位にきちんと核種が集まっていることも確かめたい。  骨転移のある前立腺がんを適応として16年に承認されたアルファ線治療薬第1号「ゾーフィゴ」(バイエル薬品)を例にとれば、その主成分である半減期11.4日のラジウム223が、カルシウムと同族のアルカリ土類金属であるため、代謝の盛んな骨転移部位に集積しやすい。さらに崩壊後にできる鉛211やタリウム207が飛...  特定の元素(核種)が崩壊する際に放出されるアルファ線(ヘリウムの原子核)は、細胞数個分の飛程しかない一方、当たったときの細胞殺傷力が強い。よって、その核種をがん組織に集められれば、効果が高く副作用は少ない治療法になるのでないか、と世界中で研究が進められている。  必要な要素は、半減期が適度な長さのアルファ線核種と、それをがん組織に集める方法だ。開発過程では、ターゲット部位にきちんと核種が集まっていることも確かめたい。  骨転移のある前立腺がんを適応として16年に承認されたアルファ線治療薬第1号「ゾーフィゴ」(バイエル薬品)を例にとれば、その主成分である半減期11.4日のラジウム223が、カルシウムと同族のアルカリ土類金属であるため、代謝の盛んな骨転移部位に集積しやすい。さらに崩壊後にできる鉛211やタリウム207が飛程

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