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臨床研究と患者の人権

第1シリーズ④ プロトコール違反の治験薬投与

ジャーナリスト 出河雅彦

2021年12月1日号

 愛知県がんセンターでの抗がん剤「254S」の臨床試験(治験)をめぐり、死亡した卵巣がん患者の女性(以下、Y子さんと言う)の遺族が愛知県と主治医だった医師(以下、O医師と言う)に損害賠償を求めた訴訟で、同センターに勤務していた福島雅典医師が原告側の証人としてO医師の「医療行為」を厳しく批判する証言をしたことを前回11月15日号で紹介したが、被告のO医師は法廷で何を語ったのだろうか。 自らの行為を正当化  1996年1月から同年12月20日まで計6回行われた尋問で、O医師は治験薬投与についてY子さんと夫に説明し、同意を得ていたと主張したうえで、治験の実施計画書であるプロトコールに違反したことについては「治療目的」を理由に正当化した。死因についても抗がん剤による副作用であることを否定した。その言い分は次のようなものだった。 ...  愛知県がんセンターでの抗がん剤「254S」の臨床試験(治験)をめぐり、死亡した卵巣がん患者の女性(以下、Y子さんと言う)の遺族が愛知県と主治医だった医師(以下、O医師と言う)に損害賠償を求めた訴訟で、同センターに勤務していた福島雅典医師が原告側の証人としてO医師の「医療行為」を厳しく批判する証言をしたことを前回11月15日号で紹介したが、被告のO医師は法廷で何を語ったのだろうか。 自らの行為を正当化  1996年1月から同年12月20日まで計6回行われた尋問で、O医師は治験薬投与についてY子さんと夫に説明し、同意を得ていたと主張したうえで、治験の実施計画書であるプロトコールに違反したことについては「治療目的」を理由に正当化した。死因についても抗がん剤による副作用であることを否定した。その言い分は次のようなものだった。

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