医薬経済オンライン

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読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー

誤解されたままの認知症

第183回

大西一幸

2021年12月15日号

認知症そのままでいい 上田諭 ちくま新社/2021年7月刊  母方の祖父は大分県の片田舎で独り暮らしをしていたが、親戚の報せを受けて認知症(当時は別の言い方)の症状が進行しているのがわかり、私たちと同居を始めた。60年代。私は高校生だった。  ある日、2人の警察官が訪ねてきた。用件はいまで言う「虐待の疑い」。早朝、牛乳配達人が門扉の横に用意された箱に牛乳を入れると、庭に出ていた祖父が、「もう3日も何も食べていない。牛乳を飲ませてほしい」と懇願するので、2本渡すと一気に飲み干した。配達人は「年寄りに食事をさせないなんてひどい家族だ」と義憤にかられて警察に通報したのだった。まだ社会に認知症が理解されてない時代で、警察官はかかりつけ医の電話での説明を受けるまで、母の説明をまったく信用しなかった。  祖父は最期まで食欲が... 認知症そのままでいい 上田諭 ちくま新社/2021年7月刊  母方の祖父は大分県の片田舎で独り暮らしをしていたが、親戚の報せを受けて認知症(当時は別の言い方)の症状が進行しているのがわかり、私たちと同居を始めた。60年代。私は高校生だった。  ある日、2人の警察官が訪ねてきた。用件はいまで言う「虐待の疑い」。早朝、牛乳配達人が門扉の横に用意された箱に牛乳を入れると、庭に出ていた祖父が、「もう3日も何も食べていない。牛乳を飲ませてほしい」と懇願するので、2本渡すと一気に飲み干した。配達人は「年寄りに食事をさせないなんてひどい家族だ」と義憤にかられて警察に通報したのだった。まだ社会に認知症が理解されてない時代で、警察官はかかりつけ医の電話での説明を受けるまで、母の説明をまったく信用しなかった。  祖父は最期まで食欲があ

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