薬のおカネを議論しよう
3年目のコロナ禍、「燻る」研究所流出説
第56回
医療ガバナンス研究所医師 谷本哲也
2022年1月1日号
新型コロナウイルスのパンデミックは3年目に突入した。当初はここまで広範な影響は予想されていなかったが、間違いなく人類の歴史に刻まれる大事件となった。
今回のパンデミックにより、医薬品業界でも歴史的な変革が加速したと評しても過言ではないだろう。メッセンジャーRNAやウイルスベクターを利用した新規ワクチンの臨床応用に成功したのを筆頭に、抗ウイルス薬や中和抗体製剤などの治療薬開発も着々と進んでいる。もし03年の重症急性呼吸器症候群の流行規模程度で終わっていたら、メッセンジャーRNAのような革新的技術の臨床応用はずっと遅れていただろう。
その一方、3年目に入っても解決していないのが、そもそもの新型コロナウイルスの起源の同定だ。中国の武漢ウイルス研究所からの流出なのか、宿主動物から人間への感染による自然発生が契機なのか、2つの拮抗...
新型コロナウイルスのパンデミックは3年目に突入した。当初はここまで広範な影響は予想されていなかったが、間違いなく人類の歴史に刻まれる大事件となった。
今回のパンデミックにより、医薬品業界でも歴史的な変革が加速したと評しても過言ではないだろう。メッセンジャーRNAやウイルスベクターを利用した新規ワクチンの臨床応用に成功したのを筆頭に、抗ウイルス薬や中和抗体製剤などの治療薬開発も着々と進んでいる。もし03年の重症急性呼吸器症候群の流行規模程度で終わっていたら、メッセンジャーRNAのような革新的技術の臨床応用はずっと遅れていただろう。
その一方、3年目に入っても解決していないのが、そもそもの新型コロナウイルスの起源の同定だ。中国の武漢ウイルス研究所からの流出なのか、宿主動物から人間への感染による自然発生が契機なのか、2つの拮抗す
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