OBSERVER
創薬困難な標的を制し薬を届けたい
2022年2月1日号
創薬困難な標的を制し薬を届けたい
——まず、標的タンパク質分解誘導(TPD)技術とは。
冨成 化合物を使って、生体内のタンパク質分解機構を促進し、標的タンパク質の分解を誘導する技術だ。生体内で不要になったタンパク質にE3リガーゼ(E3)が結合すると、目印となる複数のユビキチンが付加され、巨大な酵素複合体プロテアソームに認識され分解を受ける。そこで標的タンパク質とE3それぞれに結合するバインダー、両者をつなぐリンカーの三者からなる化合物つまり「タンパク質分解誘導剤」をデザインし合成。標的タンパクとE3の相互作用を促進し、分解を誘導する。目的達成には、三者の構造、向き、バインダー間の距離のすべてが重要。疾患との関連が既知の生体内タンパク質約1500のうち既存薬の標的は約300。TPDは既存の低分子薬の鍵と鍵穴の概念では創薬困難と...
創薬困難な標的を制し薬を届けたい
——まず、標的タンパク質分解誘導(TPD)技術とは。
冨成 化合物を使って、生体内のタンパク質分解機構を促進し、標的タンパク質の分解を誘導する技術だ。生体内で不要になったタンパク質にE3リガーゼ(E3)が結合すると、目印となる複数のユビキチンが付加され、巨大な酵素複合体プロテアソームに認識され分解を受ける。そこで標的タンパク質とE3それぞれに結合するバインダー、両者をつなぐリンカーの三者からなる化合物つまり「タンパク質分解誘導剤」をデザインし合成。標的タンパクとE3の相互作用を促進し、分解を誘導する。目的達成には、三者の構造、向き、バインダー間の距離のすべてが重要。疾患との関連が既知の生体内タンパク質約1500のうち既存薬の標的は約300。TPDは既存の低分子薬の鍵と鍵穴の概念では創薬困難とされ
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