医薬経済オンライン

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検証 医薬品と[特許]

日本の医薬品貿易収支の実態

第1回

元大阪大学大学院 経済学研究科講師 西口博之

2022年2月1日号

 現在、日本の医薬品産業が岐路に立たされている。企業のあり方、医薬品の研究開発力、次世代の人材育成、国際紛争。多くの問題を抱えるなか、指摘しなければならないのは製造業の根幹である特許。筆者はアカデミアの場などで医薬品に限らずさまざまな産業の特許の状況を追ってきた。本連載では医薬品と特許の問題点と将来に焦点を当てていきたい。  21年12月12日付の日本経済新聞によれば、日本発の画期的な新薬は減少する一方で、00年代後半から膨らむ貿易赤字額が21年度において初めて3兆円を超過する見通しであるという。また、新型コロナウイルスのワクチンも「国産」の開発が遅れ、輸入に依存せざるを得ない状況は続いている。  貿易赤字額が膨らみ始めたのは15年ほど前で、財務省の貿易統計(表1)では医薬品の貿易赤字は6年連続で2兆円を超える(その赤字額は20年余...  現在、日本の医薬品産業が岐路に立たされている。企業のあり方、医薬品の研究開発力、次世代の人材育成、国際紛争。多くの問題を抱えるなか、指摘しなければならないのは製造業の根幹である特許。筆者はアカデミアの場などで医薬品に限らずさまざまな産業の特許の状況を追ってきた。本連載では医薬品と特許の問題点と将来に焦点を当てていきたい。  21年12月12日付の日本経済新聞によれば、日本発の画期的な新薬は減少する一方で、00年代後半から膨らむ貿易赤字額が21年度において初めて3兆円を超過する見通しであるという。また、新型コロナウイルスのワクチンも「国産」の開発が遅れ、輸入に依存せざるを得ない状況は続いている。  貿易赤字額が膨らみ始めたのは15年ほど前で、財務省の貿易統計(表1)では医薬品の貿易赤字は6年連続で2兆円を超える(その赤字額は20年余りで

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